2024年1月9日(火)~3月14日(木)
型紙とは、柿渋で防水加工を施した和紙に文様を彫り抜いた、染色で使う道具です。生地の上に型紙をあて、粳米の糊を置いてから染めて糊を洗い落とすと、糊の部分が防染されて文様が白く染め残ります。型紙の手法は主に江戸小紋や型友禅、中形と呼ばれる木綿の浴衣地に模様をつける際に用いられました。その歴史は古く、鎌倉時代には確立していたと言われています。
通常は一枚の型紙を順次移動させて一反分の連続模様をつけますが、複雑な文様を複数枚の型紙に彫り分けて組み合わせる二枚型や三枚型もあります。文様の彫り方には突彫、錐彫、引彫、道具彫があり、それぞれの文様に適した道具と技法を用います。また柄を固定するための糸入れも、非常に高度な技術です。江戸時代中期に紀州藩の保護を受け、伊勢湾沿岸の白子・寺家一帯(現在の三重県鈴鹿市)が一大産地として「伊勢型紙」を広めたほか、京都や江戸、会津で制作された型紙も各地に残っています。
特別展「型紙 精美なる技」では、今に守り受け継がれてきた高度な彫りの技術と、型紙の文様の多様さに焦点を当ててご紹介いたします。